2015-12-09 . 随想・詩 皆が少しずつ、卒業を意識し始めているようだった。 空が色づき始めた頃、二、三人が流行りの歌を口ずさみ始めた。 ひとり、またひとりと、それに合わせ始め、歌声は全体から聞こえるようになった。 クラスの全員が、歌の紡ぎ出す時間の流れを共有した瞬間だった。 この歌に、二番はない。 こらえ切れずに泣く者は、顔を手で覆っていた。 それぞれが終わりを意識して、この美しい時間を受けとめようとしていた。