死ぬときは、感謝の心だけをもって、人生を終えたい。

自分の記憶に、正面から向き合ったことはあるか?
たとえば自分の死を誰かに告げられて、まもなく記憶が消されることを告げられたとしたら。そして、生前に親しかった人々に、自分の声が届くかどうか、すでに分からないとしたら。
せめて彼らが近くにいて、自分の声が聞こえていることを祈りながら、私は空に向かって、どんな記憶を叫ぶだろうか。
自分が忘れても、この世界が覚えておいてほしい記憶は、何だろうか。
できることなら、この世界に覚えておいてもらいたい記憶は、きちんと紙にして現世に遺しておいて、空には悠々と、感謝の気持ちを表す言葉を浮かべたい。

「この世界へ。
この人生をくれて、ありがとうございました。
これまで与えてくださった、すばらしい一瞬一瞬に感謝しながら、もうそれはそれとして、これから起こることに、無心で向き合いたいと思います。」